行政書士のみつおです😃
娘は小学一年生です。
コロナウィルス感染症の影響で、小学校にも行けず家でゴロゴロしています。
教育を受ける権利を全うできず可哀想ですが、こればっかりはどうしようもありません😷
緊急事態、ですしね😅
そういえば、アイザック・ニュートンはペストが流行したときに学校に丸2年いけなかったという話があります。
ロンドンにあるケンブリッジ大学に通っていた時のことです。
その期間で万有引力のきっかけをつかみ、彼はその2年間を「創造的休暇」と捉えています。
物事には常に複数の側面があります。
どうしようもないことは受け入れるしかありません。
ただ、それをどう生かすかはその人次第にはなってくることが唯一の救いでしょう😊
さて、他の記事でも遺言の種類には触れました。
この記事では、相続人が生前ご自分で書かれた遺言書を中心に考えていきましょう。
こういう自分の手で書いた遺言書を「自筆証書遺言」といいます。
ついでですが、読み方について触れておきます。
遺言ですが、法律上は「いごん」と言います。
「いごん」というときは、法律上に効力のある遺言のことを指します。
「ゆいごん」という読み方もあります。
「ゆいごん」という話をするときは、家族に対して遺す言葉、というニュアンスです。
そういう違いはあるものの、相談される時はどちらでも通じるので大丈夫です。
大切なのは、自分の言葉を遺したい、という気持ちだと考えています。
◼︎遺言についておさらい
遺言書の遺産処分などの指定は、相続人に対して拘束力があります。
相続人は原則的にその指定に従うべき義務があるといってもいいでしょう。
原則的に、とは例外もあるということです。
例えば、遺言の内容に相続人以外への遺贈が含まれていない必要があります。
そして、共同相続人全員が合意をした場合、遺言内容とは異なる遺産分割協議を成立させることができます。
こういう例外はあるものの、それは遺言書が法的に有効な場合に限られます。
◼︎自筆証書遺言と公正証書遺言の違い、自筆証書遺言の要件
遺言書として法的な要件が満たされてはじめて遺言書となります。
そういった間違った(法律的には「瑕疵がある」といいます)遺言書は、それが有効か無効か問題視されます。
この点では、公証人が作成した公正証書遺言については問題視されることはありません。
自筆証書遺言が満たすべき要件はたくさんあります。
・全文自筆で作成日付の記載がある(財産目録はパソコンでもOK)
・遺言者の署名・捺印がある
・加除・変更の指示、変更した旨の付記・署名、変更箇所への押印
・2人以上の者による同一証書での作成禁止
・家庭裁判所による検認
これらを一つ一つ満たさなければなりません。
せっかく自分の言葉を遺したいと考えたとき、この遺言の効力が疑われてはどうでしょう。
被相続人がもし自分の死後の様子を見たらがっかりすることでしょう。
◼︎遺言が無効となった判例
では、遺言書の有効・無効が争われて無効なケースとなった場合はどういうものがあるでしょうか。
①作成日付を吉日とした遺言(最判昭和54年5月31日民集第33巻4号445頁)
「『昭和四拾壱年七月吉日』と記載されているにとどまる場合は、暦上の特定の 日を表示するものとはいえず」
という理由です。
②斜線が引かれた遺言書は故意に遺言書を破棄したときに該当する(最判平成27年11月20日民集第69巻7号2021頁)
「斜線を引く行為の一般的な意味に照らして,上記遺言書の全体を不要のものとし,そこに記載された遺言の全ての効力を失わせる意思の表れとみる」ので破棄した、とされています。
③自筆証書遺言に施された花押は押印とは認められない(最判平成28年6月3日民民集第70巻5号1263頁)
花押とは文字をデザインして図案化したものです。
「我が国において、印章による押印に代えて花押を書くことによって文書を完成させるという慣行ないし法意識が存するものとは認め難い」
とされています。
◼︎遺言が有効となった判例
では逆に有効となったケースはどのような場合があるでしょうか。
①自筆証書遺言の日付が真実の作成日付と相違しても、それが誤記であることおよび真実の作成の日が遺言証書の記載その他から容易に判明する場合(最判昭和52年11月21日集民第122号239頁)
②自筆遺言証書における押印は指印をもって足りる。(最判平成元年2月16日民集第43巻2号45頁)
花押を押して無効になったケースがあります。
それと比較しても拇印の場合は「指印があれば印章による押印があるのと同等の意義を認めてい る我が国の慣行ないし法意識」があるためとされています。
◼︎何が困るか?
有効の場合は問題ないのですが、無効の時は何が困るでしょうか。
例えば、その遺言内容で預金を相続する、とされた相続人は困ります。
銀行の立場では、遺言書の有効性を判断することは不可能なので、有効なものとして手続きすることができません。
銀行としてはその瑕疵がある内容を指摘して司法判断を求めるように勧められる場合があります。
また、全相続人に対してその「瑕疵がある」ことを明示して、それでも遺言者の遺志を尊重し、遺言内容通りに処理することに異議がないか照会されるかもしれません。
その結果、スムーズに預金を払い戻すことができなくなります。
自分の気持ちを遺す、ということが難しくなってしまいます。
◼︎結び
自筆遺言証書に求められる家庭裁判所の手続きは単純に遺言書の状態を保全するための手続きです。
遺言書の有効性を充足する手続きではありません。
そういうことを回避するため、行政書士に自筆遺言証書の有効性を相談することをお勧めします。
それでも、家庭裁判所による検認などが必要です。
ですので、もっともお勧めは公正証書遺言を作成し後顧の憂いをなくすということです。
何のため遺言を残すか、行政書士が相談に乗ります😉