調停でも解決しないときは遺留分侵害額請求訴訟を考えよう

行政書士のみつおです😀

 

前々回、前回から遺留分侵害額請求について解説しています。

この記事では、遺留分侵害額請求訴訟ついて紹介します。

 

■調停でも解決しないときは遺留分侵害額請求訴訟を行う

調停を行っても解決しないときは、遺留分侵害額請求の訴訟を提起するしかありません。

 

遺留分侵害額請求訴訟に関する裁判所は、請求額が140万円を超えるときは地方裁判所、140万円以下のときは簡易裁判所です。
管轄は、相手方の住所地に加え、被相続人の最後の住所地、金銭債権となるため義務履行地(請求者の住所地)、当事者が合意で定める裁判所のいずれかとなります。

 

 

■遺留分侵害額請求訴訟の流れ

まず原告(請求する側)が請求内容とその理由を記載した訴状を管轄の裁判所に提出し、訴えを提起します。
このとき合わせて証拠となる書類も一式提出します。

 

裁判所が訴状を適正に受理すると、裁判所は書類のコピーと呼出状を被告(相手方)に郵送します。
書類を送付された被告は、訴状の内容に対する認否と反論を記載した答弁書を裁判所へ提出します。

 

第1回期日では、裁判官から訴訟の進行方法の説明や、原告、被告それぞれに追加資料などの指示があります。
第1回期日の終わりには、次回期日の日程を決めます。

 

こうして、原告と被告双方が主張を行い、それぞれの主張を裏付ける証拠を提出し合って審理を進めていきます。
基本的に、原告と被告が相対することはなく、相手方の提出する主張に対する認否と反論を書面によって繰り返していきます。

 

ただし通常は、審理の途中で裁判官を仲裁役として原告と被告の話し合いの場がもたれます。
この話し合いによって合意がまとまる場合は、調停のときと同じように調停調書が作成されます。
このように、裁判において双方の合意がまとまることを、裁判上の和解といいます。

 

もちろん、調停でもまとまらなかった話し合いですから、裁判上の和解が成立しないこともあります。その場合は、判決で決着をつけることになります。
原告、被告双方の主張が出て、提出された証拠や証人の調べが終わったら、裁判官が判決期日を定め、その期日に判決が下されることになります。

 

■遺留分侵害額請求訴訟の注意点

遺留分侵害額請求訴訟は、当事者だけでも行うことができますが、現実的ではありません。
本格的な裁判手続きを、法律知識のない一般の方が行うには無理があります。

 

弁護士をつけずに本人だけで訴訟提起した場合、裁判所側はある程度手続きの説明や、必要な主張や証拠が欠けていないか注意をしてくれますが、裁判には相手側もいますから、裁判所は中立を保つために、どちらか一方に特別な配慮をすることはできません。

 

訴訟に至ったということは、調停を行っても解決しなかった難しい問題ということですから、自分の遺留分を守るために、弁護士の力を借りることをおすすめします。

 

元々、遺留分侵害額請求は相続財産の遺留分という大きな金額を請求するものですから、とても難しい法律問題です。
多くの場合、遺留分侵害額請求に対して、相手方が不当に金銭支払いを拒んでいるだけという問題ではありません。
遺留分の侵害額算定の前提となっている遺言書の有効性、遺産の評価額、相続人の範囲といった点についての争いによって、話し合いが進まないというケースがほとんどです。

 

訴訟に至ったときに限らず、早い段階で弁護士に相談することで、早期解決する場合もあります。
遺留分の侵害額にもよりますが、困ったときは弁護士に相談しましょう。

 

 

 

■結び

3回に渡って遺留分侵害額請求について解説してきました。

 

遺留分侵害額請求権とは、自分の遺留分が侵害されたときに、受遺者に対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができる権利です。

 

遺留分侵害額請求については、証拠を残すために内容証明郵便を送付して相手方へ請求を行った後、相手方と協議することが一般的です。
ですが、相手方との話し合いが進まない、できないという場合は、家庭裁判所へ調停の申立てを行うことができます。
家庭裁判所への遺留分侵害額請求調停の申立てには、申立手数料として1,200円分の収入印紙と連絡用の郵便切手代が必要ですが、弁護士等へ依頼することなく進めることが可能です。

 

家庭裁判所の調停は、裁判官1名、調停委員2名が調停委員会となり、申立人、相手側それぞれとの話し合いによって、双方が合意できるように進めていきます。
何度かの調停の後、双方が合意すれば「調停調書」が作成され、調停は終了します。
この「調停調書」には、判決と同じ効力がありますので、内容に従わない場合は強制執行も可能です。

 

調停によっても解決しない場合は、遺留分侵害額請求訴訟を提起するしかありません。
この訴訟は、当事者だけでも行うことができますが、法律知識も必要になりますし、そもそも訴訟にまで発展した問題ですから、弁護士に相談し依頼することをおすすめします😀