各種遺言書の特長を生かす(1) 遺言の活用

行政書士のみつおです😀

 

小学二年生になる娘がいます😊
今年の夏休みは通常通り、7月終わりから8月終わりまでとなっています。
去年はコロナの影響で、夏休みがとても短かったと記憶しています。
でも、残念ながら大手を振って遠いところまで出掛けるということもできずにいます😓

そういうスタイルが普通になることで、世の中の価値観なんて変わりやすいものと感慨にふけっています🙁

 

さて、他の記事でも遺言の種類には触れました。

遺言方式は自筆証書、公正証書、秘密証書と種類があり、それぞれ特徴があります。

 

業務では公正証書遺言を第一にお勧めことが多いです。

しかし、いろいろ吟味して決めたいという方も多いことも事実です。

今回から、遺言方式を比較し、理解を深めていきたいと考えています。

 

■遺言は何のために必要か

 

遺言を遺すことで、遺産分割を円滑に行うことができます。

民法では、法定相続分の割合しか定められていません。

遺言書がなければ、具体的に誰がどの財産を相続するかを話し合わなければなりません。

 

このため、被相続人の遺志に反して遺産が分割されることもあります。

はたまた、協議がまとまらずに何年も放置されることだってあるのです。

 

「兄弟仲は良いし、いさかいなどするはずがない」

「そもそも争い奪い合うほどの財産がない」

実際にこういうことを普段から口にするような方でも、いざ相続が開始すると状況は一変します。

遺産の分割方法を巡って揉めるのです。

 

■揉めやすい状況が重なる「相続」

 

相続人が多忙な中、なおかつ相続の手続きは煩雑です。

ちょっとした行き違いから感情的にもつれ、遺産分割が進まなくなることがあるのです。

 

亡くなった方が父親の立場で、子たちと母親が遺されたとしましょう。

母親が元気なうちは子たちも母親の手前比較的スムーズに遺産分割が進むます。

 

しかし、その母親も亡くなってしまい、二次相続となると揉めやすくなります。

これまで無意識に抑圧されていた感情が一気に噴き出すのでしょうか。

一次相続で既に分割した財産まで蒸し返すと、まとまる話もまとまらなくなります。

 

■遺言の意義

 

遺言は、所有財産の処分の自由を遺言者の死後にまで認める制度です。

遺言書という形で書面に残すことで、その内容に従って遺産を分割できます。

 

遺言書は、民法で厳格な方式が定められています。

普通方式と特別方式というのがあります。

特別方式は危急次など、普通方式の遺言ができない場合に認められる簡便な方式のことです。

通常は冒頭でも説明した普通方式を用います。

すなわち、自筆証書、公正証書、秘密証書のことを指します。

 

■結び

 

相続という状況は揉めやすいという背景を説明しました。

そして、遺言書は争いを未然に防ぐという意義もあります。

続きの記事数回でこれらの特徴を比較していきます。

あなたにぴったりの遺言を遺すため、行政書士が相談に乗ります

障がいを持つ子を育てるあなたへ(4) 誰が面倒を見るのか

行政書士のみつおです😀

 

すっかり暑くなりました。

私の家はエアコンの配置の仕方が若干おかしく、

さらに西日が照りつけるので、冷えないエリアがあります😓

 

そして、夜になっても昼間と同様、とても蒸し暑いです😓

エアコンで少し体がしんどいですが、頑張って乗り切りましょう。

 

リンク:「障がいを持つ子を育てるあなたへ(1) 親亡き後問題とは?」

さて、今回は障がいを持つ子が相続に直面すると発生する「誰が面倒を見るのか」問題を取り上げます。

 

■「誰が面倒を見るのか」問題

障がいを持つ子への相続を考えるとき、最大の問題が、「誰が面倒を見るのか」という問題です。

問題を大きく考えると、お金の問題と身の回りの世話の問題に分かれます。

 

相続後のお金の問題は、負担付贈与、成年後見制度、信託の設定といった方法がありました。

「誰が面倒を見るのか、そのために必要なことは何か?」

この記事ではそういうことへの対処法を考えていきます。

 

■いずれにしても、法定後見人

 

Aさん夫婦の死亡後は、誰が面倒を見るのか、以下の選択肢が考えられます。

・Dさんが「兄妹」としてCさんの面倒をみていく

・Dさんが法定後見人として面倒をみていく

・専門職後見人が法定後見人として面倒をみていく

 

Cさんの療養看護等で法律行為を行う必要が出てくることも考えられるので、いずれにしても法定後見人の選任が必要となります。

後見人候補をDさんとするのか専門職にするのかは、Dさんの事情等を勘案することになりますが、Dさんと専門職の複数後見も可能です。

 

■信託の制度は使えるか?

 

「誰が面倒を見るのか」という問題に対して、信託の制度は使えません。

信託は財産管理の制度であり、実際にCさんの面倒をみていくには成年後見制度の活用が必要となります。

 

相続税法の規定の中に、特定贈与信託というものがあります。

 

特定障がい者に対する贈与税は非課税となることがあります。

特定贈与信託とは、親族や篤志家を委託者、信託銀行などを受託者、特定障がい者を受益者として、その療養や生活の安定を図るために設定される信託のことです。

 

特別障がい者(重度の心身障がい者)については6,000万円まで非課税です。

それ以外の特定障がい者(中程度の知的障がい者や障害等級2級または3級の精神障がい者など)については3,000万円までの他益信託設定について贈与税が非課税となります。

 

障がいを持つ子のために信託を設定する、という話の中でも触れましたが、受益者は障がい者本人なのです。

財産についてはいろいろな方法がありますし、非課税となる枠もありますが、身の回りのケアには残念ながら使えません。

 

■結び

 

まず、身の回りのケアをするためには、法定後見人を選定することが必要でしょう。

1人で後見人をすることも、複数人で後見をすることもできます。

 

やはり、事情が許されるなら、親族と専門職で複数後見していくことを考えた方が安全であるといえます

信託の設定は直接の解決にはなりませんが、周辺の環境を整えるという意味にもなります。

 

様々な制度を活用し、支えていくための準備をしていきたいですね😇

行政書士は、そのような相談にも応じますのでお気軽にご連絡ください。

 

 

障がいを持つ子を育てるあなたへ(3) 悪徳業者に騙されないために

行政書士のみつおです😀

 

小学生の娘がいます。
見ていると、宿題に自宅学習に、忙しく過ごしています。
私は小学生の時こんなに忙しかったかな・・・?😅

学校の宿題も多いような気がします。
少なくとも、小学校低学年で6時間目ってありませんでした。


時代は変わるものです😓

 

リンク:「障がいを持つ子を育てるあなたへ(1) 親亡き後問題とは?」

さて、今回は障がい者の子を育てるときに直面する「親亡き後問題」を考えて行きます。

 

■悪徳業者の被害に遭わせたくない

 

障がいを持つ子への相続を考えるとき、以前紹介した問題とは別に、一括で財産を相続させると誰かに騙されるのではないか、ということがあります。

 

「悪徳業者に相続財産を横領されて、その後の生活に困るという事態を避けたい!」

そういうことへの対処法を考えていきます。



■相続をさせずに、負担付き贈与

 

財産をCさんに一切相続させずに、Dさんに負担付き遺贈し、DさんがAさんの財産を相続して終生Cさんの面倒をみていく手法が考えられます。

 

Dさんは常にCさんを見舞って世話をしてくれているので安心できそうにみえます。

しかし、もしDさんが結婚して子供ができた後にCさんより早く死亡した場合、どのような相続が起こるのでしょう。

 

Aさんの(本来Cさんが習得すべきであった)遺産はDさんを経由してその夫と子が1/2ずつ取得します。

そのため、Cさんのために1銭も使われなくなる可能性があります。

したがって、このような手法にも大きなリスクがあります。

 

■成年後見制度を活用する

 

上記では負担付き贈与をして面倒を見てもらう、ということにはリスクがあると分かりました。

まず、Cさんを被後見人とする成年後見制度を活用したうえで、Aさんが遺言を作成して財産(金銭)をCさんにも相続させます。

そのうえで、相続させた財産を成年後見人がCさんのために使用していく手法の方が適切です。

 

この場合の後見人候補者はAさんまたはBさん、Dさんが考えられます。

なお、Cさんのために適切に判断して法律行為をするためには現状でも法定後見人が必要です。

 

AさんやBさんが判断能力を失ったり死亡した場合、更に緊急度が増すので、早めに家庭裁判所に後見開始の申立をしておくべきです。

 

■信託を設定する

 

Aさん死亡後、Cさんに財産(金銭)を一括で相続させたうえで成年後見人の管理に委ねる手法を紹介しました。

同様に、以下の2つの手法で信託設定することで財産を信託によって保全することができます。

 

・遺言による信託設定

 

Aさんが作成する遺言の条項で金銭を信託財産とする信託設定を行ます。

受益者としてCさんと施設を指定します(特定贈与信託では、受益者は障がい者のみです)。

これにより、信託財産元本を信託で保全しつつ、毎月Cさんと施設に一定額を給付していくことができます。

そして、Cさんへの給付を受けて、後見人がその金銭をCさんのために行使することになります。

この場合の受託者は、信託銀行等、Dさんが考えられます。

 

・生前の遺言代用信託設定

 

Aさんの生前にAさんを委託者兼当初受益者、Cさんと施設を死亡後受益者とする遺言代用信託を設定します。

生前は運用のみ行うか、信託配当のみをAさんが受け取る仕組みです。

 

この場合は、Aさんの生前は、別途AさんがCさんと施設に給付を行います。

そして、Aさんの死亡後から信託で新受益者であるCさんと施設に給付を行っていきます。

 

そして、Cさんへの給付を受けて、後見人がその金銭をCさんのために行使します。

この場合の受託者も、信託銀行等、Dさんが考えられます。

 

■結び

 

負担付き贈与、成年後見制度、信託の設定を紹介してきました。

 

「財産を安全に使って生活してもらいたい!」😇

そのためには、複数の方法を検討していくことが大切です。

これまでみたところ、信託と後見制度を併用する手法が最適なのではないでしょうか。

 

行政書士は、このような相談にも応じますのでお気軽にご連絡ください。

障がいを持つ子を育てるあなたへ(2) 任意後見制度の活用

行政書士のみつおです😀

 

私には、2歳の息子がいます。
幼稚園に通う予定です。
今、幼稚園は3歳から無償で通えるようになっています。
少子高齢化が進むと、昔では思いもよらないことが普通になります😅


意外と幼稚園代も安くはないので助かっています😄

 

リンク:「障がいを持つ子を育てるあなたへ(1) 親亡き後問題とは?」

さて、この記事では、前回紹介した「親亡き後問題」について考えていきます。

 

■判断能力を失った場合への対策

 

障がいを持つ子への相続を考えるとき、問題の1つとして、Aさんが認知症等で判断能力を失った場合があります。

このとき、Cさんや施設に金銭を給付できなくなるリスクが浮かび上がりました。

今回は、このリスクへの対策を考えていきます。

 

Aさんを被後見人とする任意後見制度の利用を検討します。

この場合の任意後見人候補者はBさん、Dさんまたは行政書士、弁護士等の専門職です。

複数後見人とすることも可能です。

 

■任意後見契約を活用する

 

任意後見契約は公正証書で締結します(任意後見契約に関する法律3条)。

その条項でAさんがどのような法律行為を任意後見人に委任するかを規定しておきます。

 

任意後見契約が締結されたら、公証役場からの嘱託で東京法務局備付けの後見ファイル(登記簿)に締結の事実が登記されます。

 

そして、実際にAさんが判断能力を失い、家庭裁判所に申し立てて任意後見監督人が選任されることによって任意後見契約が発効します(同法2条1号)。

そこで任意後見人がCさんや施設に給付していくことになります。

 

なお、後見人はAさんのためにAさんの財産を使うことが主眼になるため、扶養義務のあるCさんへの給付はともかく(民法877条1項)、施設への寄付を継続できるか否かは問題があり、少なくとも任意後見契約でAさんの意向を明確にしておく必要があります。

 

したがって、Aさんの意向を十分に理解しているBさんを任意後見人候補者として任意後見契約を締結しておくことがAさんの意志が実現しやすくなります。

 

ただし、成年後見の終期はCさんの死亡時であるため、Dさんも後見人候補者に加えて複数後見人で臨む態勢が必要になります。

もっともDさんは今後結婚して後見事務に携われなくなる可能性もあるので、行政書士、弁護士等との複数後見で臨むことも考えられます。

なお、任意後見人は任意後見監督人の監督に服します。

 

また、任意後見はAさんの死亡によって終了するため、その後のCさん等への給付はできません。

 

■法定後見契約を活用する

 

次にAさんが判断能力を失ってから法定後見制度を利用することも考えられます。

 

この場合、後見人候補者欄にBさん、Dさんを記入することができます。

しかし、家庭裁判所の後見審判で必ずしも親族後見人が選任されるとは限りません。

行政書士、弁護士等の専門職が後見人に選任される可能性があるほか、後見人Bさん、Dさんに専門職の後見監督人が付される場合があります。

 

もっとも、いずれにしてもDさんの協力が不可欠になります。

 

■結び

 

任意後見契約や法定後見を活用して、不測の事態に対応するにはどうするか、流れを説明してきました。

もちろん、自分の意向を実行しやすいのは判断能力があるうちから進めることです

 

自分のケースに当てはめると、どういう制度を利用するべきか迷うこともあるでしょう。

そういうときも行政書士にご相談ください。

 

 

障がいを持つ子を育てるあなたへ(1) 親亡き後問題とは?

行政書士のみつおです😀

 

小学生になる娘がいます。
最近の小学校はデジタル化が進んでいますね。
一人一台、iPadが教材として配られて、
家にネットがない家庭だったらwifiが配られます。

公立ですよ?😅
そういう部分は羨ましく思ったりします。

 

さて、相続の問題を生前扱うとき、自分の亡き後どうなるのだろうと不安を抱えることが多々あります。

その状況には、不安に感じている当人はいません。

今回から数回、その際たるものとして障がいを持つ子に相続をさせる場合について取り上げていきます。

 

■リーディングケース

 

このような状況を考えて見ましょう。

登場人物は以下の通りです。

□Aさん(本人、77歳)

□Bさん(妻、72歳)

□Cさん(子、44歳)

□Dさん(子、39歳、独身、会社員)

 

Aさんには2人の子がいて、そのうち、Cさんには先天的な障がいがあります。

Cさんは1人で身の回りの世話ができないために施設に入っています。

 

Aさん夫婦は毎月何回か施設に訪問してCさんに会っています。

施設への支払いとしては、Cさんの入居費用を支払っています。

そのほか、Cさんが過ごしやすいように施設への寄付も行なっています。

 

Dさんも毎月のようにCさんを訪問して何かと世話してくれています。

Aさんは、自分や妻が亡き後、Cさんを十分に支えていければ心配に思っています。

「自分や妻が元気なうちはいいが、そうでなくなってしまえばどうなるのだろう。」

「健常な方の子に過度な負担をかけたくない。結婚したり、仕事の都合で遠くに引っ越してしまえばどうなるのだろう。」

 

このような状況を考えていきます。



「親なき後問題」

 

このような問題はいわゆる「親なき後問題」といわれます。

Aさん夫婦にとっては、自分たちが死亡した後、障がいを持つCさんが無事に安楽に一生を過ごせるかが心配で、死んでも死にきれない気持ちが強いでしょう。

 

このような場合は、単一の対策ではなく、対策を複合的に組み合わせることが重要です。

 

問題を整理して見ましょう。

以下のように、リスクとして3つあると考えられます。

 

①Aさんが認知症等で判断能力を失った場合、Cさんや施設に金銭を給付できなくなる可能性

②Aさんが死亡した場合、一括で財産を相続させてもCさんが管理できず、悪徳業者などによる横領被害に遭う可能性

③Aさん夫婦が死亡した後、誰がどのようにCさんの面倒を見ていくのか

 

■結び

 

核家族化が進む中で、このリーディングケースのように先天的に障がいを持っていたり、そうでなくても病気や事故で身の回りのことが自分でできなくなることがあります🙁

 

このような状況で相続を考えるとき、まず問題点を洗い出してそれに対して個別に対策を考えていきたいですね😊

次の記事から、ここで洗い出した問題点に対して個別に解決策を探っていきます。

 

行政書士は、そのような相談にも応じますのでお気軽にご連絡ください。

 

相続人がいないときどうなる? (2)

行政書士のみつおです😀

 

今年は梅雨が早いですね。

洗濯物が乾かない今日この頃です。

タオルが少しピンク色に見えてきた、ということがあったら要注意です😱

もしかしたら、そういうカビが生えているのかもしれません。

 

殺菌ができる洗剤で漬け置きしてから洗えばまだ大丈夫です。

なんでも始めが肝心です

 

 

前回から、相続人不存在という状態について説明してきました。

私は、いずれのケースも、どことなく被相続人にとって物悲しい状態と感じてしまいました。

でも、実際には、物悲しいだけではなく、とても困る、という場合も出てきます。

今回は、その問題点と解決法について掘り下げていきます。

 

困る人たち

 

□金融機関

 

被相続人が借金を超過していて、相続人全員が相続放棄手続きをとる事態が発生した時のことを考えましょう。

このとき、お金を貸していたのは金融機関が多いのではないでしょうか。

もちろん個人が貸していたというケースもあると思います。

 

もちろん、そのような債権者は、債権を回収する手続きを進めていくことになります。

そこで困るのが、取引の相手が存在しないってことになります。

相続がなされた場合は、その相続人が取引の相手になります。

でも、相続人不存在の場合は誰と進めていけばよいか、という問題点が発生します。

 

被相続人が貯金をしていた場合は、金融機関の場合、預金債権と貸金債権を相殺できます。

プラスとマイナスを通算するイメージです。

 

このとき、「相殺する」っていう意思を相手方に伝えなければいけないのです。

しかし、相続人不存在の場合はそれを伝える相手がいない、というわけです。

 

担保をとっている場合も同じです。

抵当権設定していたり、質権設定をしていたりしていたものに対して、担保権行使手続きをして回収できる、と踏んでお金を貸しています。

このときもまた、誰に対して行うのか、という問題が発生します。

 

担保取得されていない被相続人の自由財産がある場合、債権回収をどうすればよいかとの課題もあります。

せっかく財産があるのなら、通常は残された財産から返してもらいたい、と考えるわけです。

 

□遺言書で指定された人、特別縁故者

 

被相続人が遺言書を遺していた場合、遺言で指定された人は、相続財産を譲り受けることができるのですが、それは誰に言えばいいのでしょう?

ここでも誰と手続きを進めていけばいいのか、という問題があります。

 

また、被相続人と生計を共にしていた、とか身の回りの世話をしていた、という人もいるかと思います。

相続人がいないとき、相続財産は誰も引き取り手がいなかったら国のものになるわけですが、特別な縁故がある人がいる場合にその人たちにも財産が分与されるのです。

被相続人と特別な縁故のある、方々も困ってしまうのです。

 

救う人たち

 

前に取り上げた問題を解消するための手段が、相続財産管理人の選任である。

相続開始し、相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人とされます。

 

家庭裁判所は利害関係人または検察官の請求によって相続財産管理人を選任しなければならないとされています。

 

被相続人に対し融資債権を持つ金融機関は利害関係人として選任申立てが可能です。

相続財産管理人が選任された後は、その人に対しもろもろの手続きを踏んで債権回収を図ることとなります。



結び

 

相続財産管理人によって困った事態が打開できることを説明してきました。

日常の取引は相手がいるからできることであって、いなくなると不都合がとても多いです😓

自分の死後、相続人がいない可能性があるときは遺言書を残しておくことをお勧めいたします。

そういうときも行政書士にご相談ください。

相続人がいないときどうなる? (1)

行政書士のみつおです😀

 

5月といえば連休もあり、4月から新生活が始まった方にとって一服できる、という期間ではないでしょうか。

昨年から新型コロナウィルス感染症の拡大を受け、連休にしたいこと・できることが一変しました😓

そんなときでも、何かしらプラスになることを、と考えてこのブログを書いています。

 

今回から、2回にかけて相続人不存在というケースについてとりあげます。

相続人がいないときって相続はどうなる、と不安に思っている方もいるのではないでしょうか。

身寄りのない方、または近しい親類となんらかの事情があって関わり合いになりたくない、という方も少なからずいます。

今回は、相続人不存在となった場合の問題点について取り上げます。

 

◼相続人がいないってどういうこと?

 

相続人がいないパターンとして、以下の様なケースがあります。

 

□被相続人に第三順位相続人までに該当する相続人がまったく存在しないとき

 

相続人になれる人は、民法で順番が決まっています。

以下の順番です。

  1. 配偶者

  2. 子(が亡くなっている場合には孫)

  3. 親(が亡くなっている場合には祖父母)

  4. 兄弟(が亡くなっている場合には甥姪)

 

これらの人がいないとき、相続人不存在の状態になります。

 

□相続人全員が相続放棄手続きをとったとき

 

上で説明したように、相続人がいても、なんらかの原因で全員相続放棄をした場合も出てきます。

被相続人に多額の借金があると判明している場合にそのような対応を取る相続人が多いです。

相続できる順位にあるけれども、生前に関わり合いがなく疎遠であったりした場合もあります。

 

□欠格や廃除によって相続人がいなくなった時

 

この他にですが、欠格や廃除されて相続人にならないというケースもあります。

相続人にとってマイナスの行為を行なった人は相続をすることができない、というケースです。

欠格は民法で決められた悪いことを行なった場合に相続ができなくなります。

被相続人を自分に有利な(被相続人にとっては不本意な)遺言を書かせる目的で、悪いことをした場合です。

相続人となるであろう人を殺害したり、被相続人を脅迫したり。

 

廃除は、被相続人の生前の意思で行います。

ある人に相続させたくない、と家庭裁判所に申立て、それが認められればその相続人の相続権は失われます。

相続人となるであろう人による虐待や侮辱行為が行われたときに申し立てることができます。



◼結び

 

相続人不存在の場合は被相続人がせっかくの財産を相続できなくなります。

そして、さらに困るのは被相続人にお金を貸している、といったケースです。

相続放棄されてしまい、相続人から回収できない、というケースですね。

 

次の記事では、この問題点と解決策について深く掘り下げていきます

 

遺産分割の割合はどうやって決める?(3)遺言書がある場合の遺産分割割合

行政書士のみつおです😀

 

前回、前々回と、遺産分割についてそれぞれ詳しくみていきました。

今回は遺言書がある場合に遺産分割の割合はどうなるのかみていきたいと思います。

 

■遺言書がある場合の遺産分割割合

ここまでで、遺産分割の方法や法定相続分を見てきました。
次に、遺言書がある場合の遺産分割割合を見ておきましょう。
遺留分を害する遺言書による遺産分割の指定の効力や遺留分侵害額請求についても確認します。

 

■遺言書による遺産分割割合の指定

被相続人は、「遺言で、遺産の分割の方法を定め、もしくはこれを定めることを第三者に委託することができる」と民法により定められています。
遺言書により遺産分割割合が指定されていたら、基本的にその割合に従います。

 

また、遺言により遺産の分割を禁止することもできます。
以下、さまざまなパターンの遺言書による遺産分割割合の指定方法や、遺産分割禁止について確認します。

 

□遺言書により特定の財産を指定

前述した通り、被相続人が複数の財産を残した場合、不動産も預貯金も遺産分割しないかぎり、相続人全員の共有となります

たとえば、被相続人の相続財産が、3,000万円相当の土地と、3,000万円の預金のケースで具体的に考えましょう。
相続人は被相続人の妻と子です。

 

もし、相続人は被相続人の妻と子で、遺言書も遺産分割協議もなければ、土地と預金は次の法定相続分割合で相続します。
それぞれを単独の所有にしたいなら、遺産分割協議しなければなりません。

 

遺産分割協議では「遺産分割協議書」を作成することになりますが、どういったものなのかイメージしにくいと思います。

 

遺産分割協議書とはこのような書類です。

https://vs-group.jp/lawyer/souzoku/wp/wp-content/uploads/2460-02-1.png
> 遺産分割協議書のサンプルダウンロード(word)
引用元:【遺産分割協議書ひな形をダウンロードして簡単作成】書き方や文例をサンプルを交えて解説!|弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所

 

相続人は被相続人の妻と子で、遺言書も遺産分割協議もないケース

 
3,000万円相当の土地 2分の1 2分の1
3,000万円の預金 2分の1 2分の1


なお、預金も遺産分割の対象であることに注意が必要です。
預金なので相続により当然に分割されるのではないかと思う方もいるでしょう。

 

しかし、当然に1,500万円ずつの預金を相続したことにはならないのです。
つまり、このケースでは妻と子の遺産分割協議が整わない限り、3,000万円の預金を解約して全額を引き出すことはできません。

 

このような事態をさけるため、被相続人は遺言書により、3,000万円相当の土地と、3,000万円の預金の遺産分割を、次のように指定することができます。

 

遺言書で特定の財産を相続させる(遺産分割の方法を指定する)例

 
3,000万円相当の土地 妻が相続するという指定 -
3,000万円の預金 - 子が相続するという指定


「遺産分割の指定」と言うとわかりにくいですが、「誰に何を残すか」を遺言書で定めることだと思えばよいでしょう。

 

□遺言書により相続割合を指定

次に、遺言書により遺産分割割合を指定するパターンも見てみましょう。
先ほども確認したとおり、被相続人が複数の財産を残した場合、遺産分割しないかぎり、相続人全員で法定相続分により共有します。

 

前述と同じ相続財産と法定相続人のケースで、被相続人は次のように遺産分割割合を指定することができます。

 

遺言書で相続する割合を指定する(遺産分割の方法を指定する)例

 
3,000万円相当の土地 3分の1の割合で相続する 3分の2の割合で相続する
3,000万円の預金 3分の2の割合で相続する 3分の1の割合で相続する 


法定相続分通りで相続するのなら、妻も子もそれぞれの財産につき、2分の1の割合で相続します。

しかし、法定相続人の生活や収入の状況などを考えて、被相続人が遺言書により自由に、相続割合を指定することができます。

 

法定相続人は、遺言書により遺産分割協議の指定をされたということです。

 

□遺言書により特定の財産と相続割合を指定

次に、遺言書により、特定の財産を相続させ、遺産分割割合を指定する複合的なパターンも見てみましょう。
前述と同じ相続財産と法定相続人のケースで考えます。

 

遺言書で特定の財産を相続させ、遺産分割割合を指定(遺産分割の方法を指定する)例

 
3,000万円相当の土地 妻が単独で相続 -
3,000万円の預金 3分の2の割合で相続する 3分の1の割合で相続する

 
このように、被相続人は遺言書により、財産ごとに「誰に何をどのくらい相続させたいかを指定」することができます。

 

□遺言書による遺産分割禁止

被相続人は遺言書により5年以内の遺産分割禁止を定めることもできます。
遺言書というと、遺産を分け与えるイメージが強いと思いますが、一定期間内、遺産を分割してほしくない被相続人は、遺言書により遺産分割を禁止できるのです。

 

■遺言書により遺産分割を第三者に依託

被相続人は遺言により、遺産分割を第三者に依託することができます。
遺言により指定した遺言執行者に、換価分割を委託するような場合です。

 

たとえば、「遺産である不動産は、遺言執行者が売却し、その代金を長女と次女に2分の1ずつ分ける」という遺言を残すこともできます。

この場合は、遺言執行者が不動産の売却手続き一切をおこない、被相続人の長女と次女に、代金を分配することになります。

 

■遺留分を害する遺言の効力

一定の法定相続人に認められた最低限の取り分が遺留分ですが、遺言書の内容が遺留分を害していても、かまいません。
遺留分を害された人が遺留分侵害額請求をするかどうかは、遺留分を害された人の自由だからです。

 

■遺留分と法定相続分の違い

遺留分権利者と法定相続人、遺留分割合と法定相続分は異なりますので、注意してください。

 

□法定相続制度と遺留分制度の異同

まず、法定相続分と遺留分の異同を見てみましょう。

 

法定相続分と遺留分の異同

  法定相続分 遺留分
配偶者のみ 全体を相続 遺留分を算定する財産の価額の2分の1
子のみ 全体を相続
配偶者と子 配偶者1/2、子1/2
配偶者と直系尊属 配偶者2/3、直系尊属3/1
配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4 遺留分を算定する財産の価額の2分の1
ただし、兄弟姉妹には認められない
直系尊属のみ 全体を相続 遺留分を算定する財産の価額の3分の1
兄弟姉妹のみ 全体を相続 認められない


兄弟姉妹に法定相続分が認められるケースでも、遺留分は認めらないので注意しましょう。

 

遺留分を算定するための財産の価額については、次の計算をしてください。


被相続人が相続開始の時において有した財産の価額+贈与した財産の価額-債務の全額

 

□具体的な法定僧俗分と遺留分

遺留分権利者の個別の遺留分割合は、次の式で算出することができます。


全体的遺留分×法定相続分の割合=個別の遺留分

 

たとえば、前述した具体的なケースで見てみると、次のようになります。


この場合は、次のようになります。

Yの法定相続分は2/3、AとBの法定相続分は各1/6でした。
遺留分については、Yの遺留分は2/6、AとBの法定相続分は各1/12となります。

 

■結び

遺産分割協議の性質や効力、どうやって遺産分割割合を定めるかなど見てきました。
遺産分割割合で揉めなければ、とくに法定相続分を知っている必要もないかもしれません。


また、遺言で遺留分が害されていなければ、とくに遺留分についての知識も必要ないでしょう。

しかし、相続人間で円滑に話合う必要が出てきたとき、基本的な知識がないと感情的になってしまって、遺産分割協議が進まない可能性があります。


基本的な法定相続人、法定相続分、相続の承認や放棄の効果などを理解し、自分で法定相続分を計算できるようにしておきましょう。
ただし、債務がある場合や相続財産が複数ある場合、法定相続分相当の額を計算するのもたいへんです。
また、そのような場合は相続人間の遺産分割協議が滞るケースもあります。

 

自身で法定相続分相当の額を計算したり、遺産分割協議をしたりするのが不安な方は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
とくに相続人間で争っているときは、弁護士に遺産分割協議の代理を依頼することをおすすめします。