相続財産の預金払い戻しについて、遺族が知っておいて欲しいこと

行政書士のみつおです。

6歳の娘がいますが、この間幼稚園を卒園しました😃
COVID-19(新型コロナウィルス感染症)が広まる今日この頃です。
卒園式は開催も危ぶまれてきました。
園児や先生、保護者も皆マスクをする中行われました😷
集団感染は私の近所では発生していないようですが、ギリギリの判断のもと行われたようです😅
人と人との接触を8割削減することの難しさを日々感じています😷

◼︎家族の取引銀行知っていますか

生活資金の大部分を賄っている一家の大黒柱のお父さんが死亡したことを考えてみましょう。
こういうケースでも家族はお父さんが取引している金融機関を知らない場合があります。
地元の銀行ばかりではありません。
ネット銀行、ネット証券など、IDとパスワード類がなければアクセスできない金融機関もあります。
どこに口座があるか、知らなければ途方にくれてしまいますね。
こういった金融機関に預けている預金や証券も相続財産になります。
それらは名義変更や払戻しをしていかなければいけません。
いざ相続が発生してもそういった金融機関の取引口座が不明なケースがあります。
残された家族が知らなければずっと金融機関の口座で眠り続けることになります。
大前提として、それらはリスト化して相続財産目録として作成することをお勧めいたします。
有価証券など時価で変動する場合があっても銘柄などを記載しておけば相続財産の価額を算出することができます。

相続財産の所有は人それぞれです。
不動産や火災保険、生命保険、自動車や負債についても記載しておきましょう。
「年をとると物忘れがひどくなる」という方もいます。
なかなか思い出せなくなって困っている方も多いです。
まだまだ元気だから必要でない、という考えも分かります。
ただ、いざというときに家族が困ることを考えて早め早めの準備が望ましいですね。

◼金融機関の対応

このブログでも大切なことなので重ねて取り上げてきましたが、判例変更がありました。
最高裁大法廷の平成28年12月19日付決定です。
従前、共同相続における預金債権は、可分債権とされていました。
相続開始と同時に各相続人がそれぞれの相続分に応じて分割して承継する、という立場です。
これを「分割法定承継」といいます。
しかし、先の決定においては遺産分割の対象とされたことにより、相続手続きは変更を余儀なくされることになりました。

複数名の相続人がいる場合、被相続人に帰属していた預金債権は相続人の準共有となります。
所有権の場合は共有とされますが、法律上の効果は同じです。
金融機関は相続開始後は相続人全員に対して善管注意義務を負うことになります。
これに抵触する行為は金融機関が損害賠償義務を負うことになります。
合理的な理由がないのに被相続人名義の預金を特定の相続人に対し全額払い戻すケースなどです。

そのため金融機関は払戻取引が生じないようにするための措置を施します。
貸金庫を借りている場合は新規の入出庫が発生しないようにします。
投資信託や公社債、金投資などもそうです。

金融機関はこういう措置をとることを知っておいてください。
相続開始後の相続人の心情は総じて不安定です。
葬儀をするにもお金が必要です。
日頃銀行はニーズに応えてくれていたのに、相続を開始したら払戻しに書類がいると言われ、感情的に対立するケースもあります。
ですが、金融機関には金融機関の事情もあることもご理解ください。

◼︎葬儀費用の払戻し

葬儀費用の払戻しを遺産分割協議前にするにはどうしたらいいか。
このケースは銀行のリスク判断によることになります。
銀行にとって、便宜扱いとなるケースです。
ですので、詳しくは被相続人の取引銀行の窓口へ問い合わせることになります。

この便宜扱いですが、以下のような条件を整えていくことで銀行が応じてくれるケースがあります。
一部を紹介します。

・相続人が店勢圏内に住んでいて、前から取引関係にある
・遠方居住者であっても、社会的立場などから勘案し、後日何か修正する事態となった際に確実に応じてもらえるとの確信が持てる相続人である
・多くの相続人が払戻しに賛同している
・預金の払戻し方法を病院や葬儀社の請求書を確認し、それらの金融機関口座への振込にする

もちろん、取引銀行によっては全く違うケースもあります。
ただ、銀行と信頼関係を築くことを考えていけば払戻しには応じてくれるケースもあります。
それを念頭に置いていただけたらと思います。

◼︎結び

相続開始直後の金融機関の対応とその事情を紹介しました。
一家の大黒柱が亡くなった時など、その家族の心情は察するに余りあるものです。
ですが、生前から少しから準備をすることで少なくとも金銭面はスムーズに進めることができます😇
相続財産の状況は人によって様々です。
そういったことも相続専門行政書士へご相談ください。
なるべくスムーズに相続を行うためにまずは何をしたらいいか、一歩を踏み出しましょう🙋